更新日 : 2021/04/23
近年、託児所の数が増えています。その理由として考えられるのは「労働力不足」と「子どもの預け先不足」です。ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
まずは「労働力不足」です。日本は少子高齢化ですが、状態は年々深刻化しています。出生率が下がっているのはもちろんですが、労働力の中核を担う16歳~64歳の層が減少しているからです。女性の場合は結婚や出産などで働き方を変えることも多いのですが、その年代はビジネス経験も豊富で企業にとって有力な戦力でもあります。この層を取り込むには、支援のひとつである託児所を設け、育児中でも働き続けられるような環境を整えることが大切なのです。福利厚生の一環として多くの企業が託児所を導入しています。
次に「子どもの預け先不足」について見ていきましょう。子どもがいても働き続けたいと思う女性はたくさんいます。しかし、働くとなると子どもを誰かに預けなければなりません。そこで頼りになるのが保育園ですが、2000年前後は少子化が進んだことで経営難に陥る保育園も増え、閉鎖が相次ぎました。その結果、保育園不足となり、待機児童の数が増え社会問題となったのです。国も問題の深刻さを受けとめ、待機児童の解消に向けて取り組んでいます。完全に解消されるにはまだ時間がかかりますが、労働力不足問題との同時解消に向けてさまざまな対策を打ち出しています。そのひとつが職場に託児所を設置することです。介護業界や看護業界のように女性が多く活躍している職場ではその傾向が強まっています。職場に保育施設があることは、子どものいる女性職員にとってとても大きな助けになるでしょう。
事業所内の保育施設は企業内保育所とも呼ばれ、「認可保育所」「認可外保育所」「企業主導型保育所」の3種類に分かれています。
「認可保育所」とは、児童福祉法に基づいて国が定めた施設の広さや保育士の数、調理・防災・衛生管理、設備などの基準を満たしており、自治体に認可された保育施設のことです。自治体ごとにさらに細かく認定基準が設けられていることもあります。
「認可外保育所」とは、自治体の認可を受けていない保育施設のことです。児童福祉法に基づいて国が定めた基準項目を満たしていなくても運営することは可能で、認可保育所に比べて自由度が高いのが特徴です。ただし、認可保育所のように国からの助成金はありません。
「企業主導型保育所」とは、内閣府が主導で運営している許可外保育所のことです。職員の育児と仕事の両立を支援することが目的のため、運営時間の調整や複数企業が共同で運営するなど比較的自由なスタイルで運営することが可能です。許可外保育所の1種ではありますが、認可保育所のように助成金も出ます。